デビットカードの危険性とは?
不正利用の手口や被害を防ぐ対策について解説
デビットカードは、商品を購入すると同時に銀行口座の残高からお金が引落とされる仕組みのカードです。分割払いやボーナス払い、後払いはできず、支払い方法は即時一回払いのみとなります。
現金に近い感覚で利用でき、口座残高以上の買い物ができないため使いすぎを防止できるカードです。しかし、「不正利用の危険性はないの?」「被害を防止するにはどうすればいいの?」という心配を抱えている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、デビットカードの危険性や不正利用の手口、被害を防ぐ方法、不正利用された場合の対処法について解説します。
1. カードの不正利用被害の現状
クレジットカードと同様、デビットカードも不正利用の被害を受ける可能性があります。
一般社団法人 日本クレジット協会の調査によると、2022年のクレジットカード不正利用被害額は436.7億円でした。2014年の被害額は114.5億円であることから、この8年で不正利用の被害が約4倍に増加したことがわかります。
主な不正利用の手法は「偽造カード」と「番号盗用(フィッシング詐欺)」です。以前は、偽造カードによる不正利用の割合が多かったのですが、最近は番号盗用による不正利用の割合が増えています。2022年の被害額は411.7億円で、不正利用全体の94.3%が番号盗用によるものでした。
不正利用被害の国内・海外別の内訳も公表されています。2022年の場合、被害の内訳は次の通りです。
2022年不正利用被害 | 国内 | 海外 | 合計 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
偽造カード | 0.5 | 0.1% | 1.2 | 0.3% | 1.7 | 0.4% |
番号盗用 (フィッシング詐欺) |
314.4 | 72.0% | 97.3 | 22.2% | 411.7 | 94.3% |
その他 | 23.3 | 5.3% | ||||
計 | 436.7 | 100% |
参考:一般社団法人 日本クレジット協会「クレジット関連統計」
2. デビットカードで考えられる不正利用被害
デビットカードを上手に使いこなすためには、事前に不正利用に関する注意点と対処方法を知っておくことが大切です。ここでは、不正利用の被害がどのようにして発生するのか、どのようなリスクがあるのかについてみていきましょう。
紛失・盗難
デビットカードの紛失や盗難によって他人の手に渡ると、不正に使用される危険性が高まります。そのため、デビットカードの保管や管理には気を配らなければなりません。
デビットカードを紛失した場合や盗難の被害にあった場合は、警察に紛失・盗難の届けを出しましょう。紛失・盗難されたデビットカードの損害に対する補償を受けるには、警察への届け出が必要です。
また、カード会社の窓口に連絡し、利用停止手続きを行うとデビットカードの不正利用を未然に防止できます。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺とは、有名企業など信頼性の高いサイトになりすましてEメールやSMSなどを送信し、偽サイトに誘導することで個人情報などをだまし取る詐欺行為です。
たとえば、大手カード会社を装い「あなたの情報が盗まれた恐れがあります。こちらにカード情報と暗証番号を入力してください」というメールを送信し、メール内のリンクからカード情報と暗証番号を盗むケースがあります。
フィッシング詐欺の被害を防ぐためには、次のような対処方法が有効です。
- 不審なメールやメッセージに掲載されているリンクをタップ(クリック)しない
- 不審なメールで名乗られている企業の公式サイトを検索し、サイトのURLを確認する
多くの場合、フィッシング詐欺は、緊急性をアピールして被害者を心理的に追い詰めます。突然、「今すぐ対応してください」などと書かれたメールが届いても、焦らず冷静に対処しましょう。
スキミング被害
スキミングとは、専用の装置を仕掛け、カードの磁気ストライプに記録された情報を読み取る手口です。以下が代表的な手口です。
- ATMやカード決済端末などにスキマーと呼ばれる特殊な装置と小型カメラを仕掛け、カードの磁気情報と暗証番号を盗み取られる
- 盗み取った情報をもとに偽カードを作成して、利用される
スキミングの被害を防止するためには、ATMやカード決済を利用する際に、特別な装置や小型カメラが装着されていないことを確認しましょう。
また、カード情報のみを盗まれて、スキミングされる被害も報告されています。カード本体が手元にあるにもかかわらず被害にあうケースも多いことから、不正利用に気付きにくい点が特徴です。頻繁に利用明細を確認することで、不正利用の被害を最小限に抑えることができるでしょう。
ECサイトでの情報漏洩
ECサイトからの情報漏洩が原因で、カードが不正利用されるケースもあります。たとえば、メールによって、ECサイトから個人情報漏洩の報告があった場合、カードが不正利用されていないかどうかを素早く確認しましょう。
また、偽のECサイトを利用したために、カード情報を含む個人情報が漏洩することがあります。ECサイトで買い物する際は、URLやサイト名をよく確認しましょう。初めて使うサイトの場合は、サイト上に表示されている販売業者の住所や電話番号が実在するかどうかの確認も大切です。
3. デビットカードを不正利用されてしまった際の対処法
デビットカードを不正利用された場合、どこに連絡すればよいのでしょうか。一度不正利用されたカードは、引き続き不正利用される可能性があるため、早めの対処が必要です。連絡が必要な先は「カード会社」と「警察」の2か所です。
ここでは、それぞれの連絡方法や対処方法について解説します。
カード会社に連絡する
カードの不正利用に気付いた場合は、すぐにカード会社に連絡しましょう。できるだけ早くカードの利用を停止すると、被害の拡大を防止できます。
一般的にカード会社は、紛失・盗難に対応するため24時間対応の窓口を設置しています。連絡先は、カードの裏面や利用案内書、会社のホームページなどに記載されています。
カード会社に連絡したタイミングで、「不正利用に関する届出書」について説明されることもあります。対応が必要になるので、手続き方法を確認しておきましょう。
警察に「遺失届出書」を提出する
カードの利用を停止したあとは、警察に「遺失届出書」を提出します。記入事項は次の通りです。
- 遺失者の住所・氏名・電話番号
- 遺失日時
- 遺失場所
- 遺失物の名前・種類・特徴など
遺失届出書は最寄りの交番や警察署で入手できるため、その場で記入・提出しましょう。各都道府県警察のサイトからもダウンロード可能です。
カード発行会社の不正利用に関する届出書を記入・返送する
カード発行会社から、不正利用に関する届出書についての所定の用紙が届くため、内容を確認・記入し、返送します。
カード会社によって手続き方法は異なるため、不明な点があれば問合わせ窓口などに確認しましょう。
4. デビットカードの不正利用は補償可能?
デビットカードが不正利用された場合、損害が補償されるかどうか気になる人は多いでしょう。補償されるケースと補償対象とならないケースがあるため、注意が必要です。
ここでは、補償の条件や補償ができないケースについて解説していきます。
原則補償してもらえる
デビットカードが不正利用された場合、原則として被害額に対する補償が受けられます。ただし、補償限度額や条件があります。
補償限度額や条件はカード会社によって異なります。多くの場合、カード会社が連絡を受けた日から60日ほど前まで遡り、その期間のみが補償対象期間となります。補償額は年間100万円などの制限があります。
また、補償にあたって警察への届出が必要になるケースも多いです。事前にカード会社の補償条件を確認しておきましょう。
補償ができない場合とは
補償条件を満たしていない場合は、補償対象とならない点は知っておきましょう。たとえば、「カード会社が連絡を受けた日から60日前まで遡る」と定められている場合は、それ以前の被害は補償対象にはなりません。
また、年間100万円の補償限度額が設定されている場合、130万円が不正利用された場合、30万円は補償対象外となります。次のように、利用者に故意または過失がある場合も補償されません。
- カードや暗証番号の管理が著しく不十分だった(暗証番号を他人に教えたなど)
- 第三者にカードを利用させていた(他者の利用のため、カードに暗証番号を書いていたなど)
- カードの署名欄があるにもかかわらず署名していなかった
カードや暗証番号は補償条件を満たした管理方法を徹底しましょう。
5. デビットカードの不正利用を防ぐための対策
デビットカードの不正利用を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。ここではすぐにできる対策を5つご紹介します。
1.デビットカード用の口座を使用する
不正利用防止のために、デビットカード専用の口座を作る方法です。デビットカードは口座にある残高以上の金額は利用できません。
不正利用の補償限度額が100万円の場合、口座残高を100万円以下にしておくか、10万円など自分で決めた金額のみを入金しておくと不正利用に対処しやすくなります。
2.利用限度額を細かく設定しておく
デビットカードの多くは「1回あたり」「1日あたり」などの利用限度額を設定できます。限度額は、専用のWebサイトやアプリなどで変更可能です。
不正利用を避けるためにも、利用限度額の設定を行いましょう。また、補償限度額を確認しておくことも大切です。
3.海外での利用を停止しておく
デビットカードのなかには、海外ATMで出金できるタイプがあります。設定で簡単に変更できるため、海外での利用予定がない場合は、海外での利用を停止しておきましょう。
カード情報が漏洩した場合、知らないうちに海外で悪用される可能性があります。利用停止機能を活用すると、海外での不正利用を未然に防止できます。
4.利用明細をこまめに確認しておく
不正利用から一定期間が過ぎると補償の対象外となるため、利用明細をこまめに確認し、早く不正利用に気付くことが重要です。一度不正利用されたカードは二度、三度と不正利用される可能性があります。
被害の拡大を防止するためにも、不正利用に気付き次第、すぐにカード会社に連絡しましょう。
不正利用を迅速に止めるためにも、利用通知サービスを実施しているデビットカードもあります。サービスを利用すれば、利用するたびに登録しているメールやアプリ宛に利用通知が届くため、不正利用された場合にすぐに気付くことが可能です。
5.パスワード・IDを使い回さない
デビットカードの専用サイトを含めてパスワードやIDを使い回している場合、別のサイト等で情報が漏洩した際に、同じパスワードで登録している他サイトにも不正にログインされる可能性が高まります。不正ログインにより、個人情報やカード情報を取得され悪用されるケースもあるため、注意が必要です。
パスワード・IDはサイトごとに違うものを準備し、不正利用防止に努めましょう。
6. 池田泉州銀行のデビットカード不正利用対策
池田泉州銀行では「池田泉州デビット(JCB)」「池田泉州デビット(VISA)」の2種類のデビットカードを発行しています。ここでは、池田泉州デビットの不正利用対策についてご紹介します。
不正検知システムによって不正利用を防止できる
池田泉州銀行のデビットカードには、不正検知システムが備わっています。カードをモニタリングし、不正利用の可能性が生じた場合に、早期に不正利用を検知する仕組みです。不正利用を検知すると、取引を自動保留するため、不正利用被害の防止につながります。
メールでカードの利用を確認できる
池田泉州銀行のデビットカードは、カードを利用するたびにメールでお知らせするサービスを提供しています。メールサービスを利用すると、不正利用に一早く気付くことができるため安心です。
7. まとめ
デビットカードは即時一回払いのみに対応しており、銀行残高以上の買い物はできません。そのため、現金感覚で利用できる便利なカードです。
ただし、クレジットカードと同様、不正利用のリスクがあるため事前対策が欠かせません。万が一不正利用された場合は、被害を最小限に食い止めるためにも、カード会社に直ちに連絡しましょう。
池田泉州銀行のデビットカードは、不正検知システムやカードの利用をメールで通知するサービスを実施しています。カード情報の詳細について、くわしくは池田泉州銀行のホームページをご覧ください。
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