バイクの維持費ってどれくらい?
原付や大型バイクの維持費の違いとは
バイクを購入したくても維持費がどの程度かかるのか見当がつかず、購入をためらっている人もいるかもしれません。交通手段として小回りのきく原付が欲しい人や、中型〜大型バイクを所有して休日に趣味のドライブを楽しみたい人など、バイクとの関わり方は人それぞれ。バイクを楽しむためにも、維持費がどのくらい必要なのか知っておきましょう。
(1)バイクの維持費の内訳
バイクを維持するためには、様々な費用がかかります。内訳を確認していきましょう。
軽自動車税
バイクは軽自動車の区分けになるので、軽自動車税がかかります。4月1日時点でバイクを所有している人に対して、市区町村より納税通知が送られてきます。一般的には4月中に納税通知書が届き、5月中に納税することになります。
税額は以下の通りです。
- 排気量125cc以下の原付(原動機付自転車)
・排気量50cc以下(一種原動機付自転車):2,000円
・排気量50cc超90cc以下(二種原動機付自転車):2,000円
・排気量90cc超125cc以下(二種原動機付自転車):2,400円
- 排気量125cc超250cc以下のバイク(軽二輪車):3,600円
- 排気量250cc超のバイク(二輪小型自動車):6,000円
自動車税は車の登録の翌月から当該年度末の3月31日までの月割りで計算された金額を納税しなければなりませんが、軽自動車税の場合、月割り計算はされません。4月1日時点で車を所有していれば、1年分の課税になります。4月1日に所有していなければ、4月2日以降、翌年の4月1日までの分は課税されません。そのかわり、廃車や抹消登録をしても月割りでの税金還付はありませんので注意しましょう。もし廃車や抹消登録をする際には、3月末までに手続きをすれば税金が発生しません。
重量税
バイクにも自動車重量税がかかりますが、125cc以下の原付には課税されません。また、125cc超、250cc以下のバイクは、新車を購入した時のみ重量税が4,900円かかるしくみになっています。
250ccを超えるバイクの場合は、新車登録から経過年数に対して課税額が異なります。
- 12年経過まで 年額1,900円
- 13年以上経過 年額2,300円
- 18年以上経過 年額2,500円
重量税ですので、「バイクの重さによって税額が変わるのでは?」と考えてしまいがちですが、バイクの場合には、排気量による区分しかありません。普通自動車の場合には、重量により税額が変更しますので、間違わないようにしましょう。
自賠責保険(強制保険)
自賠責保険は、正式名称を「自動車損害保険賠償責任保険」といい、すべての車両の所有者に加入義務があります。加入が義務であるため、強制保険と呼ばれることもあります。
保険料は国によって定められているため、どこの保険会社で加入しても料金は変わりません。ただし、長期で加入すると割安となります。有効期限が残っている間に廃車や譲渡を行えば、保険料の還付を受けることもできるため、長期での加入を検討するのもよいでしょう。
125cc以下の原付や、250cc以下のバイクは、インターネットやコンビニ、郵便局、バイクショップや保険会社、保険を取扱っている修理工場などで加入することができます。
排気量ごとの自賠責保険料は以下の通りです。
排気量125cc以下の原付
契約期間 | 自賠責保険料 |
---|---|
12ヵ月 | 7,070円 |
24ヵ月 | 8,850円 |
36ヵ月 | 10,590円 |
48ヵ月 | 12,300円 |
60ヵ月 | 13,980円 |
排気量125cc超〜250cc以下のバイク
契約期間 | 自賠責保険料 |
---|---|
12ヵ月 | 7,540円 |
24ヵ月 | 9,770円 |
36ヵ月 | 11,960円 |
48ヵ月 | 14,110円 |
60ヵ月 | 16,220円 |
排気量250cc超のバイク
契約期間 | 自賠責保険料 |
---|---|
12ヵ月 | 7,270円 |
24ヵ月 | 9,270円 |
36ヵ月 | 11,230円 |
- 2021年4月1日以降始期の契約で、離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用する保険料(共済掛金) 参考:損害保険料算出機構HP「自賠責保険基準料率表」
自賠責保険は強制加入となりますので、保険の期限切れには注意が必要です。もし期限が切れて未加入の状態で事故を起こした場合には、莫大な損害賠償金を自分で負担しなければならない可能性もあります。
250cc超のバイクであれば、車検時に自賠責保険の加入をチェックされるので期限切れの心配はありませんが、125cc以下の原付や250cc以下のバイクは自賠責保険の有効期限を自己管理する必要があります。ナンバープレートに貼ってある保険のステッカーを確認し、必ず自賠責保険に加入するようにしましょう。もし自賠責保険の期限が切れた状態のまま運行した場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金と免許停止の処罰/処分の対象となります。
自動車保険(任意保険)
バイクに乗る場合には、自賠責保険だけでなく、任意の自動車保険に入っておくと安心です。自分の怪我はもちろん、搭乗者の怪我や物を破損してしまった場合にも補償でカバーできます。
強制加入ではありませんが、自賠責保険だけではカバーできない補償も多くありますので、バイクに乗るのであれば加入した方がより安心です。バイク維持の必要経費として組入れることをおすすめします。
自動車保険は保険会社により補償内容が異なり、それに応じて保険料も変わります。自分が必要だと感じる補償内容をよく吟味して、様々な保険会社のWEBサイトで見積りをするとよいでしょう。また、車に乗るために自動車保険に既に加入している場合には、ファミリーバイク特約が付けられることもあります。125cc以下の原付であれば、台数が限定されることもなくカバーすることができます。今加入している自動車保険に、特約がないか事前に確認してみましょう。
車検費用
バイクも250cc超のものであれば、自動車と同じように車検を受ける必要があります。新車登録時は有効期限が3年の検査を受け、それ以降は2年に1度の車検を受けることになります。車検費用は、重量税、自賠責保険料、印紙代が必要です。おおよそ2万円と考えておくとよいでしょう。
ディーラーや整備工場に車検を依頼した際には、ほかに法定整備基本料、整備費用、部品代、代行手数料などがかかります。これらは、整備内容や業者によって金額が異なるため、見積りを取り、どこに依頼するか決めるとよいでしょう。整備により金額が異なるものの、3万〜7万円程度になることが多いようです。
なお、125cc以下の原付や250cc以下のバイクには車検はないため、車検費用はかかりません。
駐車場代
バイクは、自動車のように登録時に車庫証明を提出する必要はないため、駐車場は必ず必要ということはありません。自宅に置くスペースがあれば駐車場代はいりませんが、置く場所がなければ駐車場の準備が必要となりますので、維持費用として加えておきましょう。
地域により駐車場代は金額の差が大きいので、お住まいの地域の駐車場代をあらかじめリサーチしておくことをおすすめします。
ガソリン代
バイクを動かすために必要なガソリン代も維持費として計算しておきましょう。ガソリン代は、乗り方や使い方、バイクの特性によって金額に差があります。また、レギュラーかハイオクガソリンかでも、金額は異なるでしょう。
バイクの燃費も、1リットルのガソリンで20km程度しか走れないものから、50km以上走れるものまで様々です。カタログに参考の燃費データが掲載されているため、だいたいの金額を把握することができるでしょう。
メンテナンス費用
バイクに乗っているうちに、オイルを交換したり、不具合がでてきて修理が必要となることもあるでしょう。消耗部品の交換も一定期間で必要になります。これらのメンテナンス費用も、維持費の一部と考えておきましょう。
国産バイクであれば、部品やパーツが手に入りやすく、安価であることも多いですが、外国のバイクや絶版のものであれば、供給ルートが整っていないこともあり、修理が必要となった時に時間や費用がかかることもあります。このような事態に備え、購入するお店選びや、整備してくれる工場をあらかじめ探しておくとよいでしょう。
(2)排気量別のバイクの年間維持費
バイクの年間維持費はどの程度になるのでしょうか。以下の条件で、排気量別の年間維持費についてご紹介します。
- 年間走行距離は10,000km
- 重量税は1年単位とする
- 自賠責保険は5年契約した場合の1年単位(400cc以上は3年契約+2年契約)で計算する
- ガソリン代 160円/Lで算出
- 駐車場代は一律4,000円と仮定
- 消耗品代は一律30,000円と仮定
なお、任意保険は保険会社や補償内容によって金額が大きく異なるため、ここでは含めません。ご紹介する年間維持費に任意保険料が加わるイメージで考えてください。
原付(125cc以下)の維持費
125cc以下の原付は重量税や車検費用がかからないこともあり、年間維持費は安めになるでしょう。ガソリン代は、1リットル50kmで計算しています。
- 軽自動車税 2,400円
- 重量税 0円
- 自賠責保険 2,796円
- 車検費用 0円
- ガソリン代 32,000円
- 駐車場代 4,000円
- 消耗品代 30,000円
合計 7万1,000円程度
バイク(125cc超〜250cc以下)の維持費
250cc以下のバイクも、車検費用が必要ない分、若干安めの維持費となります。ガソリン代は1リットル40kmで計算しています。また、重量税は新車時のみ4,900円かかりますが、初回のみとなるため、今回は年間維持費に含めていません。
- 軽自動車税 3,600円
- 重量税 0円
- 自賠責保険 3,244円
- 車検費用 0円
- ガソリン代 40,000円
- 駐車場代 4,000円
- 消耗品代 30,000円
合計 8万1,000円程度
中型バイク(250cc超〜400cc以下)の維持費
250cc超〜400cc以下のバイクは一般的に中型バイクと呼ばれます。中型バイクになると、重量税や車検費用が必要となります。そのため、年間維持費が少し高めになると考えておきましょう。ガソリン代は1リットル40kmで計算しています。
- 軽自動車税 6,000円
- 重量税 1,900円
- 自賠責保険 4,100円
- 車検費用 50,000円
- ガソリン代 40,000円
- 駐車場代 4,000円
- 消耗品代 30,000円
合計 13万6,000円程度
大型バイク(400cc超〜750cc以下)の維持費
400ccを超えるバイクは一般的に大型バイクと呼ばれます。400cc超〜750cc以下のバイクも、重量税、車検費用が必要で維持費は高めです。軽自動車税、重量税、自賠責保険は250cc超を超えるバイクと同額ですが、車体が大きくなる関係で燃費は悪くなることが予想されます。ガソリン代は1リットル30kmで計算しています。
- 軽自動車税 6,000円
- 重量税 1,900円
- 自賠責保険 4,100円
- 車検費用 50,000円
- ガソリン代 53,000円
- 駐車場代 4,000円
- 消耗品代 30,000円
合計 14万9,000円程度
大型バイク(750cc超〜1000cc以下)の維持費
750cc超〜1000cc以下のバイクも、重量税、車検費用が必要です。車体も大きくなることで、ガソリン代は1リットル20kmで計算しています。
- 軽自動車税 6,000円
- 重量税 1,900円
- 自賠責保険 4,100円
- 車検費用 50,000円
- ガソリン代 80,000円
- 駐車場代 4,000円
- 消耗品代 30,000円
合計 17万6,000円程度
大型バイク(1000cc超)の維持費
1000cc超のバイクも、重量税、車検費用が必要です。車体も大きくなることで、ガソリン代は1リットル15km程度になることもあるでしょう。
- 軽自動車税 6,000円
- 重量税 1,900円
- 自賠責保険 4,100円
- 車検費用 50,000円
- ガソリン代 107,000円程度
- 駐車場代 4,000円
- 消耗品代 30,000円
合計 20万3,000円程度
(3)バイクの維持費を節約するには?
バイクの維持費を節約するために知っておきたいポイントについてご紹介します。
自賠責保険は長期で加入
自賠責保険の保険料は法律で定められおり、長期で加入するだけで安くなります。しかも有効期限が残っている間に廃車や譲渡を行えば、保険料の還付を受けることもできるため、払い過ぎや無駄になることもありません。
保険料を支払う際に、金銭的に余裕があるのであれば、なるべく長期の契約で加入することで、維持費を節約することができるでしょう。
メンテナンスはしっかりと行う
メンテナンスはすればするほど、費用がかさみます。しかし、必要なメンテナンスを怠ると、走行性能が低下したり、後から修理が必要になってよりお金がかかってしまうこともあります。また、バイクの劣化が早まれば、まだまだ乗れたはずなのに手放さなければならないこともあるでしょう。
このような事態に陥らないためにも、オイルやフィルターの交換、タイヤやチェーンなど、しっかりとメンテナンスするようにしましょう。自分でメンテナンスできれば費用を抑えることもできますが、不安な場合はプロに依頼して、愛車に長く安全に乗り続けられるようにしましょう。
燃費を意識する
バイクを動かすためには、ガソリンが不可欠です。燃費を向上させるような乗り方をすることで、ガソリン代を節約することができるでしょう。
たとえば、急発進や急ブレーキを減らしたり、エンジンブレーキを多めに使う、適切なギアにいれる、アクセル開度を一定にするなどを意識して運転することで、燃費向上だけでなく安全運転にも繋がります。
任意保険を選ぶ
万が一のために自賠責保険だけでなく、任意保険に加入している人がほとんどでしょう。自賠責保険は、事故をした時に相手の怪我の補償をするためのものです。自分や同乗者が怪我をした時にかかる治療費や、バイクがぶつかったことによる損害補償の費用、バイクの修理費用は補償がされません。
このような費用は事故によっては莫大な出費となることもあるため、任意保険に加入しておく方が良いでしょう。
任意保険の保険料は、保険会社や内容によって大きく異なります。高い保険料を支払っているから大丈夫、と思うのではなく、中身が重要です。バイクで事故を起こした時に、どれだけ補償される内容になっているか確認してみましょう。
契約内容によっては、バイクの事故とあまり関係がないオプションが追加されているために、保険料が高くなっているケースもあります。自分にとって必要かどうか、補償内容をよく吟味して取捨選択することで、保険料を節約することができるでしょう。
また、「紹介されたから」とひとつの保険会社に限定するのではなく、いくつかの保険会社から見積りを取り、補償内容、オプション、保険料を比較して選ぶこともおすすめします。
(4)まとめ
バイクの維持費についてご紹介しました。バイクといっても、様々なサイズのものがあります。大きさによって税金も異なります。それぞれのサイズによって、どれくらいの維持費がかかるか紹介しましたので、比較してみてください。
生活の中で使う予定のバイクであれば、税金や維持費をチェックしながら、実際にどのサイズのバイクが使い勝手が良いのか選ぶとよいでしょう。
また、バイク維持費の節約方法についてもご紹介しました。燃費を意識した運転や、こまめにメンテナンスすることは、維持費の節約だけでなく、安全にも繋がります。任意保険についても、補償内容をしっかりと確認することで節約することができるでしょう。
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