NISAで資産形成を始めたものの、「いつ売却するのがベストなのか」「非課税枠はどう活用すべきか」といった疑問を持つ方が増えています。NISAは非課税保有期間が無期限化されたことで長期運用がしやすくなった反面、いつ売却するかは自分で判断する必要があります。
本記事では、NISA口座の資産を売却するタイミングの判断ポイント、売却方法、注意点を解説します。

NISAはいつでも売却可能

NISA口座で保有している商品は、いつでも自由に売却できます。資金が必要になった場合や銘柄を変更したい場合など、自分のタイミングで柔軟に対応可能です。
複数の異なる商品を保有している場合、一度にすべて売却する必要はなく、状況に応じて特定の商品だけを選んで売却することもできます。また、1つの商品でも保有口数の一部だけを売却することも可能です。売却回数も制限されていません。
売却後は非課税枠が再利用できる
NISAでは、商品を売却した場合、売却した商品の取得金額分の非課税投資枠を翌年以降に再利用できます。ただし、再利用できる1年間の非課税枠は、年間投資上限額360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)の範囲内になります。
また2023年以前のNISAは、2024年以降のNISAと別に管理されています。2023年以前のNISAで保有している商品を売却しても、非課税枠の再利用はできない点に注意が必要です。
NISA保有資産を売却するタイミングはいつ?

NISAでは非課税保有期間が無期限であるため、売却タイミングは自分で判断する必要があります。売却タイミングの目安をご紹介します。
目標金額に達したとき
「老後資金として300万円貯める」「教育資金として100万円確保する」など、あらかじめ設定していた目標金額に到達した場合は、売却を検討する適切なタイミングといえるでしょう。
十分な貯蓄があり、近い将来に大きな出費予定がない場合は、売却せず継続することも選択肢のひとつです。NISAは運用期間が長いほど複利効果が高まり、さらなる資産増加が期待できます。
大きなお金が必要になったとき
住宅購入の頭金、子どもの大学進学費用、結婚資金など、ライフイベントで大きな出費が必要になった際は、NISAで保有している資産の売却を検討すべきタイミングです。住宅購入や子どもの進学などの際にも、NISA資産の活用を検討できます。
ただし、全額ではなく必要な金額分を売却し、残りは継続して運用することで、時間をかけてさらに資産を大きく育てることができます。
一定の年齢に達したとき
老後資金としてNISAを運用している場合、定年退職や一定の年齢に達した時点で売却するのもひとつの方法です。ただし、一度に全額を売却するのではなく、毎年必要な分だけを計画的に売却する方法がおすすめです。老後生活の資金を段階的に確保しながら、残りの資産を運用することで、長生きするリスクにも対応できます。
収入の中心が公的年金となり収入が減少した場合は、リスクとの付き合い方を改めて考え、従来の資産配分を見直すことも必要です。必要に応じて元本保証のある預貯金の割合を引き上げたり、比較的リスクの低い債券の割合を引き上げたりするなど、保有する商品を状況に合わせて組み替えることを検討しましょう。
NISA保有資産の売却方法

NISA口座で保有している資産は、金融機関の窓口やインターネット上での手続きで売却できます。
金融機関によって手続きの詳細は多少異なりますが、一般的なインターネット等での売却の流れは次のとおりです。
1. 金融機関のインターネットバンキング等にログインし、売却する商品を選択する
口座を開設した金融機関のインターネットバンキング(またはアプリ)へログインし、保有商品一覧画面から売却したい金融商品を選びます。複数の商品を売却したい場合は、1つずつ手続きを行う必要があります。
2. 売却する口数を入力し、売却を確定する
商品選択後、全額売却もしくは一部売却を選択します。一部売却の場合、売却する口数を指定します。
なお、実際の受取額(解約価額)は、約定日の基準価額をもとに計算されます。約定日とは売買注文が成立した日のことで、一般的に海外市場に投資(運用)するファンドは売却申込日の翌営業日、国内市場に投資(運用)するファンドは申込日の当日が約定日となります。
また、信託財産留保額が設定されている商品を売却する場合、解約時の基準価額から信託財産留保額が自動的に差し引かれます。信託財産留保額とは、ファンド運用の安定性を高めるのと同時に、長期に保有する受益者との公平性を確保するために、信託財産中に留保される資金です。
売却を検討する際には、約定日までの値動きや信託財産留保額も考慮して売却のタイミングを検討しましょう。
3. 指定する口座から現金を引き出す
約定日から2〜5営業日後の受渡日に、投資信託口座と紐づいている普通預金口座に入金されます。投資信託によって受渡日が異なりますので注意しましょう。
証券会社にNISA口座がある場合、証券会社によっては証券口座から銀行口座などの預金口座へ資金を移動させる出金手続きが必要です。あらかじめ出金先口座を設定している場合は自動的に振り込まれますが、設定していない場合は別途振込手続きを行いましょう。
NISA保有資産売却時の注意点

NISA口座で保有する資産を売却する際にはいくつか注意点があります。これらを把握せずに売却すると思わぬ損失をまねいてしまうことも考えられるため、売却前にしっかり確認しておきましょう。
複利効果が得られなくなる
NISA保有資産を途中で売却すると、複利効果の恩恵を十分に受けられなくなります。複利効果とは、得た運用益が新たな元本となりさらなる利益を生み出すしくみで、投資期間が長いほどその効果は大きくなります。
たとえば10年、20年と長期保有することで資産は大きく増える可能性があります。一方、短期で売却したり、運用益が出るたびに売却したりすると、長期保有と比較して将来の資産額に大きな差が生じることも考えられます。複利効果を最大限に活かすためには、短期的ではなく長期的な視点での運用が必要です。
売却後に積立設定を解除するには手続きが必要
投信積立契約で積立てた残高をすべて売却しても、月々の自動積立は継続されます。積立の停止や金額変更をしたい場合は、金融機関のアプリやインターネットバンキングから別途手続きが必要です。
まとめ

NISAは非課税保有期間が無期限化され長期運用がしやすくなりましたが、売却のタイミングは自分で判断する必要があります。ご自身の保有資産やリスク許容度などを踏まえて、
状況に応じて売却を検討しましょう。ただし、複利効果を最大限活用するためには、すべての商品を売却するのではなく、必要な金額分のみを売却し、長期的な運用の継続がおすすめです。
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