NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの投資枠があります。それぞれの投資枠には異なる特徴があり、投資初心者の方はどちらの投資枠を選べばよいのか悩まれるかもしれません。
NISAを活用した資産形成を行うためには、まずこれらの投資枠の違いを知っておくことが大切です。ライフサイクルや家族構成、投資目的などによってもどちらの投資枠が適しているか異なります。
この記事では、それぞれの投資枠の特徴や違いについてくわしく解説するとともに、投資目的や運用スタイルに応じた最適な投資枠をご紹介します。

1. つみたて投資枠と成長投資枠の特徴

まず、それぞれの投資枠の特徴を解説します。
つみたて投資枠
つみたて投資枠は、その名の通り、定期的に一定額を購入する積立投資専用の投資枠です。長い期間をかけて、時間を分散しながら、あらかじめ決めた金額をコツコツと積み立てることで、リスクを抑えながら資産形成することが期待できます。
つみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁が定めた基準を満たす、低コストで長期・積立・分散投資に向いている投資信託に限られています。
成長投資枠
成長投資枠は、積立投資だけでなく一括購入も可能な投資枠です。つみたて投資枠と比べて、より豊富な種類の投資信託や上場株式を購入できます。
市場の状況を見ながら一括で投資したり、長期的な資産形成のために積立投資を行ったりと、自分のスタイルにあわせた投資が可能です。
2. つみたて投資枠と成長投資枠の違いとは

NISAのつみたて投資枠と成長投資枠には、主に年間投資枠、投資対象商品、購入方法の3つの違いがあります。
項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税 保有限度額 |
合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円) | |
非課税保有期間 | 無期限 | |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託等 |
購入方法 | 積立投資のみ | 一括投資または積立投資 |
解約・引出し | いつでも引出しや解約が可能 |
年間投資枠
年間投資枠とは、1年間のうち非課税で投資できる金額の上限を指します。つみたて投資枠では年間120万円まで、成長投資枠では年間240万円までの投資が可能です。投資で得られる運用益(配当金や売却益)に対して、通常かかる20.315%の税金が非課税となります。なお、非課税で保有できる投資総額は生涯で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)までと定められています。
投資対象商品
つみたて投資枠と成長投資枠では、選べる投資商品の範囲が大きく異なります。つみたて投資枠では、長期の積立・分散投資に適した投資信託に限定されます。国内、海外の株式を投資対象とする商品や、株式や債券など複数の資産に分散投資するバランスファンドがあり、いずれも低コストであることが特徴です。
一方、成長投資枠では、幅広い投資対象の投資信託、国内外の株式、ETF、不動産投資信託(REIT)等、選択できる商品が格段に広がります。
購入方法
つみたて投資枠は、毎月決まった金額を自動的に投資する積立方式に限定されています。投資信託は「口数」という単位で取引され、通常1万口あたりの価格のことを基準価額と呼びます。積立投資では時間を分けて購入することで、基準価格が高い時は口数を少なく、基準価格が安い時には口数を多く購入することができるため、結果として平均購入単価を抑える効果が期待できます。この効果は一般的に「ドルコスト平均法」と言われ、一度にまとめて購入するよりもリスクを低減できます。
ドル・コスト平均法について、詳しくは以下のページ内で解説しております。
一方、成長投資枠では積立投資に加えて、自由なタイミングで一括購入することもできます。市場の状況を見ながら、より柔軟な投資が可能です。
3. つみたて投資枠のメリット・デメリット
つみたて投資枠には以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
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つみたて投資枠は少額から投資可能です。毎月決まった金額を自動的に投資するため、「いつ買うべきか」「いつ売るべきか」といった判断に悩む必要がありません。また投資商品は、金融庁が定めた基準を満たす、低コストで長期・積立・分散投資に向いている投資信託に限られており、対象が絞られているため投資が初めての方にも選びやすいでしょう。
ただし、積立初期段階は投資資産額が少額なため、価格上昇の恩恵は一括投資に比べて少なくなり、短期間で大きなリターンは見込みにくいです。
4. 成長投資枠のメリット・デメリット
成長投資枠には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
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成長投資枠はつみたて投資枠と比べると、幅広い投資商品から選択できます。また、積立投資と一括投資の両方に対応しており、投資経験に応じて、安定性重視の商品から積極的な運用まで、自由な投資戦略を組み立てられます。
ただし、一括投資をする場合は購入・売却タイミングを自分で決定する必要があります。投資信託や株式などの金融商品には、常に値動きがあります。安く買って高く売ることができれば、その差額が利益になりますが、その逆は損失となってしまいます。値動きをみながら一括で購入・売却のタイミングを図るには、知識や経験が必要となるので、積立投資である程度投資に慣れてから検討するのも良いかもしれません。
5. つみたて投資枠と成長投資枠はどちらが自分に合ってる?

つみたて投資枠と成長投資枠は、それぞれ特徴が異なるため、投資目的や運用スタイルにあわせて選択することが大切です。年齢や収入状況、将来の資金計画等も考慮しながら、ご自身に合った投資枠を活用しましょう。
少額からコツコツと着実に資産を増やしたい人はつみたて投資枠
つみたて投資枠は、月々5千円や1万円等、投資が初めての方でも無理のない範囲で資産形成をスタートできます。
また、毎月決まった金額で投資信託を自動的に購入し続けるドルコスト平均法により、市場の変動リスクを抑えながら安定的な投資を続けられるため、老後の準備や子どもの教育資金作り等、将来に向けた長期的な資産形成ができます。現役世代から退職前後世代まで幅広い方におすすめです。
柔軟な投資スタイルを実現したい人は成長投資枠
成長投資枠は自由度の高い投資を行いたい方や値上がり益、配当収入を得たい方におすすめです。つみたて投資枠よりも幅広い投資信託や国内外の株式から選択することができ、投資方法も一括・積立から選べます。ただし、株式を買うためには、証券会社で口座を開設する必要があります。
また、一括投資は市場変動の影響を受けやすいため、投資先の選び方やリスクの考え方を理解して慎重に投資を行い、ライフプランや市場環境に応じて運用スタイルを見直すことが大切です。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用も可能
つみたて投資枠と成長投資枠を併用することも可能です。たとえば、つみたて投資枠で毎月コツコツと積立投資をしながら、成長投資枠では興味のある企業の株式に投資したり、ボーナス等のまとまった資金で一括投資を行ったりすることが可能です。
毎月の投資額を増やしたい場合も、つみたて投資枠と成長投資枠を併用することで、より大きな非課税投資枠を活用できます。
また、非課税保有限度額は1,800万までありますが、成長投資枠のみで利用できる非課税枠は1,200万円までです。成長投資枠を利用しつつ非課税枠を最大限に活用したい場合は、つみたて投資枠と併用する必要があります。
ただし、それぞれの投資枠で異なる金融機関を選ぶことはできません。金融機関を選ぶ際は、扱っている商品の種類やサポート、サービス、手数料等を比較検討しましょう。
6. まとめ

今回は、NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の違いについて解説してきました。
つみたて投資枠は、毎月積み立てることで長期的に安定した資産形成を目指せるため、着実な資産形成をしたい方に適しています。池田泉州銀行では、投資が初めての方でも選択しやすよう厳選した7本の投資信託を用意しています。一方、幅広い投資信託や国内外の株式に投資できる成長投資枠は、市場動向を見ながらご自身の判断で投資先や投資タイミングを選びたい方におすすめです。株式を買うためには、証券会社で口座を開設する必要があります。池田泉州銀行では、グループ会社の池田泉州TT証券のご紹介もしています。
また両方の投資枠を併用すれば、定期的な積立投資による安定性と、成長性の高い投資による運用益を組みあわせた、バランスの取れた資産形成が可能です。将来の目標達成に向けて、ご自身の投資目的や投資スタイル、資金計画に応じた投資方法をお選びください。
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