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【2024年】
住宅ローン控除(減税)とは?
現在の制度概要を解説!
定期的な税制改正による
変更点は?

マイホームを手に入れるために、住宅ローンを利用する方も多いと思います。
そのような方にとって、住宅ローン控除はうれしい制度といえるでしょう。
所得税から控除されることで、住宅ローン返済の負担を軽減することができるからです。
しかし、住宅ローン控除の制度は、年々変更されていることをご存知でしょうか。

この記事では、2024年10月時点での住宅ローン控除の概要や変更点、注意点を解説していきます。

1. 住宅ローン控除(減税)とは?

住宅ローン控除とは、正式には「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる制度です。
住宅ローンを利用して、新築住宅や中古住宅を購入またはリフォームした場合に、一定の条件を満たしていれば、住宅ローンによる借入金の年末残高の0.7%が、最長13年間にわたって所得税から控除されます。
もし、所得税だけで控除できなかった場合は、翌年の住民税から控除されます。

定期的な税制改正により住宅ローン控除の内容が変わる

住宅ローン控除の内容は、毎年行われる税制改正によって変わることがあるので、注意が必要です。
税制改正とは、経済状況や住宅市場の変化などに対応して税負担の公平性を維持するために、政府によって行われる税に関する制度の見直しのことです。

2. 2024年1月からの住宅ローン控除の変更点

2024年の税制改正では、次の2点に配慮して住宅ローン控除の制度が変更されました。

  • より環境に配慮した住宅の取得の促進
  • 子育て世帯(19歳未満の子のいる世帯)や若者夫婦世帯(夫婦どちらかが40歳未満の世帯)への支援の強化

具体的にどのような変更があったのかを見ていきましょう。

借入限度額の上限が縮小された

2024年の税制改正では、新築住宅を取得した場合の借入限度額の上限が縮小されました。
2023年に比べて借入限度額が引下げられたことで、借入限度額を超えて住宅ローンを借りるような場合は、住宅ローン控除の恩恵が少なくなります。
2023年と2024年の借入限度額は、以下のとおりです。

表1:2023年・2024年度の新築住宅の借入限度額の違い

住宅の種類 借入限度額
2023年 2024年
新築住宅 長期優良住宅・
低炭素住宅
5,000万円 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円

子育て・若者夫婦世帯の借入限度額の縮小は見送り

2024年の税制改正では、新築住宅を購入する際の借入限度額の上限が縮小されました。
しかし、子育て世帯と若者夫婦世帯については、借入限度額の縮小は見送りとなりました。
これは、子育て世帯や若者夫婦世帯への支援を強化するもので、次表のように2024年も2023年と同じ借入限度額のままとなっています。

表2:2023年・2024年度の新築住宅の借入限度額の違い(子育て世帯の場合)

住宅の種類 借入限度額
2023年 2024年
新築住宅 長期優良住宅・
低炭素住宅
5,000万円 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 4,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 4,000万円

省エネ基準を満たさない「その他の住宅」が控除対象外となった

2024年の税制改正では、取得した新築住宅が省エネ性能基準を満たさない「その他の住宅」に該当する場合は、住宅ローン控除の対象外となりました。
ただし、2023年末までに建築確認を受けた新築住宅に、2024年・2025年に入居する場合の借入限度額は2,000万円、控除期間は10年となります。

表3:2023年・2024年度の新築住宅の借入限度額の違い(その他の住宅に該当する場合)

住宅の種類 借入限度額
2023年 2024年
新築住宅 その他の住宅 3,000万円 0円

新築住宅の床面積要件が緩和された

新築住宅を取得した場合に、住宅ローン控除の適用を受けるための床面積は「50u以上」ですが、合計所得金額が1,000万円以下の方が借入れを行う場合には「40u以上」に緩和されていました。
この緩和措置は2023年末までとなっていましたが、2024年度の税制改正では、2024年末までに建築確認が取れる場合は「床面積が40u以上」に緩和されました。
住宅ローン控除の適用範囲が広がるため、都市部の限られた土地を有効活用した住宅の普及や一人暮らしや二人暮らし用の住宅を購入する場合の税負担の軽減への効果が期待されます。

3. 住宅ローン控除(減税)の適用条件

住宅ローン控除の適用を受けるには、一定の条件を満たさなくてはいけません。
条件は、以下のように取得する住宅によって異なります。

  • 新築住宅
  • 買取再販住宅
  • 中古住宅
  • リフォーム・増築

それぞれくわしく見ていきましょう。

新築住宅

新築住宅を取得した場合は、次の共通条件を満たせば最長13年間にわたり住宅ローン控除を受けることができます。

  • 対象となる住宅ローンの返済期間が10年以上あること
  • 取得した住宅の登記簿上の床面積が50u以上で、その1/2以上の部分が専ら自身の居住用であること
    • ただし、2023年末までに建築確認を受けた場合で合計所得金額が1,000万円以下の場合は、床面積40u以上であること
  • 住宅の引渡しまたは工事完了の日から6ヵ月以内に入居していること
  • 適用を受ける各年末まで自らが引き続き居住していること
  • 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること
    ただし、夫と妻が別々に借入をするペアローンを利用している場合は、それぞれの合計所得金額が2,000万円以下であること

出典:国土交通省「住宅ローン減税」

買取再販住宅

買取再販住宅とは、不動産会社が買取した既存住宅をリフォームして再販する住宅のことです。
買取再販住宅を取得した場合は、新築住宅の場合の共通条件に加えて、主に次の条件を満たせば住宅ローン控除の適用を受けることができます。

  • 買取した住宅が新築から10年を経過していること
  • リフォーム費用が再販価格の20%(上限300万円)に相当する金額以上であること
  • 大規模修繕、耐震改修工事、一定のバリアフリー改修や省エネ改修など、対象となる工事が行われていること
  • 不動産会社が買取した日から2年以内に取得していること
  • 建築後使用されたことのある家屋で、次のいずれかに該当すること
    1. 1982年(昭和57年)1月1日以降に建築されたもの
    2. 業者が耐震改修工事をしたか居住までに耐震基準を満たすことが証明されたもの

出典:国税庁「買取再販住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合」

中古住宅

中古住宅を取得した場合は、新築住宅の場合の共通条件に加えて、次の条件を満たせば住宅ローン控除の適用を受けることができます。

  • 建築後使用されたことのある家屋で、次のいずれかに該当すること
    1. 1982年1月1日以降に建築されたもの
    2. 業者が耐震改修工事をしたか居住までに耐震基準を満たすことが証明されたもの

出典:国税庁「中古住宅を取得した場合」

ただし、中古住宅による住宅ローン控除の場合は、借入限度額は3,000万円、控除期間は10年間となります。

リフォーム・増築

リフォーム・増築の場合は、新築住宅の場合の共通条件に加えて、次の条件を満たせば住宅ローン控除の適用を受けることができます。

  • リフォーム・増築後の床面積が50u以上あること
  • リフォーム工事の代金が100万円を超えていて、その1/2以上が居住用部分の工事費用であること
  • 建築基準法に規定される大規模な修繕または大規模な模様替えのリフォーム・増築工事であること
  • マンションの専有部分の床、階段または壁の半分以上のリフォーム・増築工事であること
  • 家屋・マンションの専有部分のうち居室、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、納戸、玄関・廊下の一室の床、または壁全部のリフォーム・増築工事であること
  • 現行の耐震基準への適合のためのリフォーム・増築工事であること
  • 一定のバリアフリーのためのリフォーム・増築工事であること
  • 一定の省エネのためのリフォーム・増築工事であること

出典:国税庁「増改築等をした場合」

ただし、リフォーム・増築による住宅ローン控除の場合、借入限度額は2,000万円、控除期間は10年間となります。

4. 住宅ローン控除(減税)が適用されない場合

住宅ローン控除が適用されない一般的な例は、以下のとおりです。

  • 対象となる住宅ローンの返済期間が10年未満の場合
  • 取得した住宅の登記簿上の床面積が50u未満の場合
    2024年の税制改正による緩和措置が適用される場合は、床面積が40u未満の場合
  • 床面積の1/2以上の部分が専ら自身の居住でない場合
  • 住宅の引渡しまたは工事完了の日から6ヵ月以内に入居していない場合
  • 適用を受ける各年末まで自らが引き続き居住していない場合
  • 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円を超える場合
  • 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税特例や住宅ローン控除とは別の適用を受けている場合

どれか一つでも該当している場合は、控除が受けられなくなってしまいますので、注意しましょう。

5. 住宅ローン控除(減税)の計算方法

住宅ローン控除が適用されると、次の2つのうちいずれか低い額が、所得税または住民税から控除されます。

  • 「年末時点の住宅ローン残高」×「0.7%」
  • 1年間の最大控除額

6. 住宅ローン控除(減税)のシミュレーション事例

住宅ローン控除の計算についてのシミュレーション事例を紹介します。
計算に用いる条件は次の通りと仮定します。

表4:住宅ローン控除のシミュレーション条件<仮定>

取得した住宅の種類 新築マンション(長期優良住宅)
世帯の状況 子育て世帯に該当(小学生の子供がいる)
取得金額 5,000万円
入居日 2024年中に入居する予定
住宅ローン借入金額 5,000万円(頭金・ボーナス払いなし)
年末時点での住宅ローン残高 4,900万円
2024年の所得税額 10万円
2025年の住民税 16万円

借入限度額は「新築住宅・長期優良住宅の5,000万円」に該当しており、実際の住宅ローンの借入金額も5,000万円となっています。
また、住宅ローン控除額は次のように求められるため、34.3万円です。

年末時点での住宅ローンの残高×0.7%=4,900万円×0.7%=34.3万円

2024年の所得税額は10万円のため、所得税は全額控除されます。
住宅ローン控除額は34.3万円でしたので、所得税で控除されなかった24.3万円は、2025年の住民税から控除されることになります。
しかし、住民税からの控除額は最高9.75万円と決まっているので、実際に住民税から控除される金額は9.75万円です。
結果的に、2024年の住宅ローン控除額は、次のようになります。

所得税10万円+住民税9.75万円=合計19.75万円

7. 【注意】住宅ローン控除適用初年度は確定申告が必要

住宅ローン控除の適用を受けるためには、初年度は確定申告をする必要があります。
確定申告とは、1年分の所得や税金について、翌年の2月16日〜3月15日に税務署に申告し、税金の過不足を清算するための手続きです。
住宅ローン控除のための確定申告をする際に必要な主な書類は、以下のとおりです。

表5:住宅ローン控除のための確定申告に必要な主な書類

書類 入手先
確定申告書 国税庁HPまたは最寄りの税務署
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 国税庁HPまたは最寄りの税務署
住宅ローンの借入残高証明書 借入れした金融機関
勤務先の源泉徴収票 勤務先
対象物件の売買契約書や工事請負契約書 不動産会社
土地建物の登記簿謄本 法務局窓口またはオンライン申請システム
マイナンバーカード等(本人確認書類) 市区町村役場等

なお、住宅ローン控除の初年度は、住宅ローンの金利や元本返済が多くなるため、控除額が大きくなる可能性があります。
必ず申告期限内に手続きを済ませましょう。

申告期限に間に合わなかった場合はどうなる?

初年度の確定申告が申告期限に間に合わなかった場合でも、5年以内であれば還付申告することができます。
還付申告は、確定申告対象の年の翌年1月1日から5年間手続き可能です。
たとえば、2024年に住宅を取得して、確定申告が2025年2月16日〜3月15日の申告期限に間に合わなかった場合は、2025年1月1日から2029年12月31日までに還付申告をすれば払い過ぎた所得税が還付されます。
ただし、5年間の還付申告の期限を過ぎてしまうと、払い過ぎた所得税は還付されませんので注意が必要です。

2年目以降はどんな手続きが必要?

会社員の場合は、2年目以降は会社で行う年末調整の際に、住宅ローン控除の手続きができます。
手続きは簡単で、税務署から届く書類や金融機関からの残高証明書などの必要書類を勤務先に提出するだけです。
また、フリーランスや個人事業主などのように、毎年確定申告を行っている方の場合は、2年目以降も確定申告が必要です。
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」や「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」などの必要書類を添付する必要があります。

8. 住宅ローン控除(減税)に関するよくある質問

住宅ローン控除に関する、よくある質問と回答をまとめました。

住宅ローン控除の確定申告の書類の書き方がよくわかりません

確定申告の書類の書き方については、国税庁のサイトに「確定申告書作成コーナー」があるので、このサイトを見ると良いでしょう。
確定申告書作成コーナーを利用して確定申告書を作成すると、インターネット(e-tax)で申告することができます。
また、住所地を管轄する税務署でも書き方の相談や手続きができます。

ほかの控除との併用は可能でしょうか?

住宅ローン控除とほかの控除との併用については、「併用できるもの」と「併用できないもの」に分けられます。

表6:住宅ローン控除と併用可能・不可能なもの

併用できるもの
  • ふるさと納税
  • 医療費控除
  • iDeCo
併用できないもの
  • 特定の居住用財産の買換えの特例
  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

9. 住宅ローン控除(減税)の内容は定期的に変わる!最新情報をチェックしておこう!

2024年現在の住宅ローン控除の概要や変更点、注意点、計算方法、よくある質問などについてくわしく解説しました。
住宅ローン控除は、住宅の取得負担を軽減する制度のため、積極的に利用すべきです。
しかし、取得する住宅の種類や毎年行われる税制改正によって控除額が変わるので、最新情報を随時チェックしておきましょう。

池田泉州銀行では、住宅ローンに関するさまざまなご相談を承っております。
ぜひ、お気軽にご相談ください。

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