住宅ローンを検討する際、変動金利と固定金利の選択で迷われる方は多いのではないでしょうか。住宅ローンの借入額は数千万円と高額なため、わずかな金利差でも総返済額が大きく変わる可能性があります。
本記事では、それぞれの金利のしくみやメリット・デメリットをわかりやすく解説します。さらに、金利上昇時の対策や家計にあった選び方のポイントも紹介します。

1. 変動金利と固定金利の違い

変動金利と固定金利の違いを端的に説明すると、変動金利は、金利は低めだが返済額が変動し、固定金利は、金利は高めだが返済額が一定といえます。
それぞれの金利のしくみをくわしく見てみましょう。
変動金利
変動金利は、市場の金利動向にあわせて定期的に利率が見直される金利タイプです。一般的に借入当初は固定金利と比べて低い金利が設定され、金利の見直しは半年ごとに行われます。
金融機関によっては、返済額の急激な変動を防ぐしくみが設けられています。元金と利息をあわせて毎月一定の金額を返済する「元利均等返済方式」で借入れを行った場合、市場金利が上昇しても月々の返済額を5年間一定とする「5年ルール」や、見直し後の返済額を従来の125%以内に制限する「125%ルール」があります。たとえば、現在の返済額が月10万円の場合、金利が上昇しても次の返済額の見直し時には最大12.5万円までに制限されます。
メリット
変動金利の最大のメリットは、借入当初の返済負担を大幅に抑えられることです。固定金利との金利差は金融機関によって異なり、月々の返済額で数万円の差が生まれるケースもあります。低金利が続いた場合、変動金利は恩恵を受けやすいでしょう。
デメリット
変動金利の主なデメリットは、将来の返済額が不透明である点です。将来の金利変動により総返済額が変わるため、借入当初に想定していた計画どおりに返済が進まない可能性があります。特に金利が上昇した場合、月々の返済額が増加するため、教育費や老後資金などの資金確保が難しくなる可能性があります。
元利均等返済方式で借入れを行った場合、金利が上昇すると返済額のうち利息の部分が増えるため、元金の返済ペースが遅くなる可能性があります。さらに、毎月の返済額だけでは利息を支払いきれず、未払い利息として翌月に繰り越されるケースもあります。
対策として、金利が低いうちにしっかりと貯蓄を行い、将来の金利上昇に備えておくことが大切です。
固定金利
固定金利は、借入時に決めた利率が固定期間中は変わらない金利タイプです。金利水準は、契約時点での長期金利(10年国債利回り等)などを参考に決定されます。将来の金利変動リスクを織り込んで金利が設定されるため、変動金利よりも高めの水準となるのが一般的です。
メリット
金利が一定であるため、月々の返済額も一定で家計管理がしやすく、ご自身のライフプランを見据えた返済計画が立てやすくなります。特に教育費や老後資金といった大きな出費に向けて計画的に準備ができます。また、ローン契約後に政策変更や経済情勢の変化によって市場金利が上昇した場合でも、安心して返済できます。
デメリット
固定金利の金利は、一般的に変動金利より高めに設定されています。特に借入当初は住宅ローン残高が大きいため、金利差による影響も大きくなります。将来にわたって市場金利が上昇しなかった場合、変動金利より支払う利息が増える可能性があります。
2. 住宅ローンの金利タイプは3種類

前述のとおり、住宅ローンには変動金利と固定金利がありますが、固定金利はさらに固定金利選択型と全期間固定金利型に分かれます。
つまり、金利タイプは大きく分けて3つの選択肢があります。
- (1)変動金利型
- (2)固定金利選択型
- (3)全期間固定金利型
上記(2)の固定金利選択型は、借入当初の一定期間(2年・3年・5年・10年等)の金利が固定され、期間終了後に金利タイプを再度選択するしくみです。一般的に固定期間が短いほど金利は低く設定されています。
全期間固定金利型は、完済まで同一金利が適用されるため、総返済額も借入時に確定できます。ただし、3つの中では最も金利が高くなる傾向があります。
3. 金利上昇リスクへの対応策

2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を終了して以降、金利は上昇の動きを見せています。変動金利や固定金利選択型を選ぶ場合、金利変動リスクに備えた対策を講じておきましょう。
無理のない返済計画を立てる
金利上昇への備えとして最も大切なのは、現実的な返済計画を立てることです。
毎月の返済額を家計の許容範囲内に収め、収入と支出のバランスに余裕を持たせることで、金利変動による影響を最小限に抑えられます。
金利上昇時の影響を試算する
金利上昇による返済負担の増加を事前に計算しておきましょう。返済シミュレーションツールを使って、金利が1%、2%上昇した場合の月々の返済額への影響を把握することが大切です。
家計がどの程度の金利上昇まで対応できるかを明確にしておけば、漠然とした不安を抱く必要がなくなります。借入前には固定金利・変動金利それぞれの毎月の返済額をシミュレーションし、比較検討しましょう。
借換えを検討する
金利上昇局面では、より低金利なローン商品への借換えも選択肢のひとつです。ただし、金利差だけでなく、手続き費用や保証料等の諸費用も含めて総合的な判断が重要です。
借換え時には、新たにローン審査を受ける必要があります。借換え時点での収入状況や信用状態によっては審査に通らない可能性もあります。
4. 変動金利と固定金利どちらが向いている?

変動金利と固定金利は、それぞれに長所と短所があり、一概にどちらがお得とはいえません。大切なのは、家計状況や将来の計画、リスクに対する考え方にあった金利タイプを選ぶことです。
ここでは、変動金利と固定金利それぞれがどのような方に適しているかを解説します。
変動金利が適している方
借入当初の低金利のメリットを最大限活用したい場合は、変動金利がおすすめです。金利タイプの3種類のうち、一般的に最も低い金利設定となるため、月々の返済負担を軽減できます。収入に対して借入額の割合が小さければ、金利上昇時の家計への影響は少なくて済みます。
変動金利が向いているのは以下のような方です。
- 金利上昇時でも家計に余裕があり預貯金で対応可能な方
- 借入金額が少額または借入期間が短期の方
- 市場金利の変動状況を継続的に把握できる方
固定金利が適している方
今後の金利上昇を予想している場合や、返済額を一定に保ちたい場合には、固定金利がおすすめです。固定金利は金利上昇局面でのリスク回避手段として有効ですが、変動金利が上がる時期には固定金利も連動して上昇する傾向があるため、低金利のうちに固定金利を選択することが大切です。
金利変動に左右されたくない場合は全期間固定金利を、状況に応じて柔軟に対応したい場合は固定金利選択型を検討しましょう。
固定金利が向いているのは以下のような方です。
- 返済額を一定に保ちたい方
- 安定した返済計画を立てたい方
5. まとめ

住宅ローンは借入額が大きいため、金利タイプの選択によって総返済額に差が生じやすくなります。家族構成や将来設計、金利上昇リスクの許容度等によって適切な金利タイプは異なります。ご自身の状況にあった金利タイプを選ぶためにも、各タイプのしくみを正しく理解する必要があります。
池田泉州銀行では、金利タイプが変動金利型・固定金利選択型で、借入期間中に金利タイプを変更しても、当初の金利引下げ幅が継続適用される「全期間重視プラン」と、金利タイプが全期間固定金利型で、完済まで金利が変わらない「全期間固定金利プラン」をご用意しています。
住宅ローンをはじめとする各種ローンのご相談を店舗にて承っております。マイホーム購入のほか、マイカーローンやお子さまの教育費用、現在ご利用中のローンの借換え等、多岐にわたる資金ニーズにお応えいたします。ぜひご相談ください。
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