住宅ローンの手続きを進めていると、「金消契約」という言葉を耳にすることがあります。金消契約とは、銀行などの金融機関とお金を借りるために締結する正式な契約のことで、住宅ローン契約においては欠かせない手続きです。多くの人にとって馴染みのない専門用語のため、どのような内容なのかわからず不安に感じる方も多いでしょう。
本記事では、金消契約の意味から契約の流れ、必要な書類までくわしく解説します。これから住宅ローンを利用する予定の方は、ぜひ参考にしてください。

1. 金消契約とは

金消契約とは「金銭消費貸借契約」の略称で、住宅ローンなどの融資を受ける際に金融機関と結ぶ契約を指します。金消契約では、金融機関側が資金を提供する責任を負い、借り手側は借りたお金(元本)に加えて利息を含めた金額を返済する義務を負います。
金消契約は、住宅ローンに限らずマイカーローンや学資ローン、個人向けローンなど幅広い金融商品を利用する際に必要です。契約書には融資金額や金利、返済期間などの具体的な融資条件が記載され、実際の融資が実行される前に契約の締結が行われます。
2. 住宅ローン契約の流れ

住宅ローンの借入手続きにおいて、金消契約はどの段階で締結されるのでしょうか。住宅ローンの手続きは、申込みから事前審査、本審査を経て金消契約の締結に至り、最終的に融資実行へと段階的に進みます。ここでは住宅ローン契約の全体的な流れを見てみましょう。
@ローンの申込み
購入を検討している物件が決まった段階で、金融機関に住宅ローンの申込みを行います。申込み時には、年収や勤務先、購入予定物件の情報などの基本的な事項を記入します。
多くの金融機関では、店頭での申込みに加えてインターネットでの申込みも可能となっており、必要書類の提出も含めて手続きを進めることができます。
A金融機関の事前審査
住宅ローンの申込み後、金融機関による事前審査が実施されます。金融機関は、申込時に提出された年収や勤続年数、自己資金額などの基本情報をもとに、融資の可否を判定します。
事前審査は簡易的な調査という位置づけで、詳細な書類の提出は求められないことが多いです。申込内容に基づいて融資可能かどうかの初期判断が行われ、比較的短期間で結果が通知されます。
B物件の売買契約
事前審査に通過したあと、物件の購入申込みを行い、宅地建物取引士による重要事項説明を受けます。重要事項説明の内容を確認し、納得したうえで不動産売買契約を締結します。
C金融機関の本審査
本審査では、事前審査よりも詳細な審査が実施されます。申込者の返済能力に加えて、健康状態や担保となる物件の価値まで幅広く審査されます。
収入証明書や勤務証明書などの公的書類による収入の裏付け確認が行われ、物件については不動産鑑定による詳細な価値評価が実施されます。本審査を通過することで、住宅ローンの正式な承認が得られます。
D金消契約の締結
本審査の承認後、金消契約の締結手続きを行います。契約は対面で実施されることが一般的で、平日の営業時間内に行われるケースがほとんどです。
契約会場は銀行の支店またはローン専用センターが指定されます。契約当日は、融資条件の最終確認や契約書への署名・捺印などの重要な手続きを行います。
E決済・引渡し
金消契約締結後に融資実行と物件の決済・引渡しが行われます。融資実行とは、金融機関から住宅ローンの資金が実際に振込まれることを指します。売主や不動産仲介会社と手続きの日程を調整し、自己資金と住宅ローンで借りたお金を合わせて売主に購入代金として支払い、物件の所有権移転手続きを完了させます。
3. 金消契約時に準備すべき書類

金消契約は住宅ローンの正式な契約手続きであり、多くの重要書類が必要になります。金消契約時に必要な書類は金融機関から事前に指定されますが、おおよそ以下の書類が必要です。
- 実印
- 預金通帳と銀行印
- 印鑑証明書
- 健康保険証
- 本人確認書類
- 住民票
- 売買契約書
- 収入印紙
書類の準備には時間がかかるものもあるため、早めの準備が重要です。印鑑証明書や住民票などの公的書類については、発行から3ヵ月以内の新しいものが必要になるため注意しましょう。
なお、近年は電子契約サービスが普及しています。電子契約では電子化された契約書へ電子署名を行うため、実印や印鑑証明書、収入印紙が不要となります。
4. 金消契約書の主な条項

金消契約書には住宅ローンに関する重要な取り決めが詳細に記載されています。主な記載事項は以下のとおりです。
条項 | 概要 |
---|---|
融資実行日 | 銀行から実際にお金が振込まれる日 |
借入総額 | 銀行から借りる住宅ローンの総額 |
適用利率 | 住宅ローンに適用される金利(年利) |
返済期限 | 住宅ローンを完済する最終期日。一般的には返済期間が20〜35年で設定される。 |
返済方式 | 毎月の返済方法。元利均等返済もしくは元金均等返済を選択。 |
資金使途 | 借りたお金の使いみちを限定する条項。住宅ローンは自分が住む家の購入・建築・リフォーム・借換えにのみ使用可能。 |
担保設定 | 購入する住宅(土地・建物)に抵当権を設定すること |
期限利益の喪失条件 | 契約違反や返済遅延などが発生した際に、分割返済の権利を失い、残債を一括返済しなければならなくなる条件。 |
延滞時の損害金 | 返済が遅れた場合に追加で支払う損害金 |
早期返済時の手数料 | 予定より早く住宅ローンを返済(繰上返済)する際に銀行に支払う手数料 |
特に注意すべき条項
金消契約書の中でも、とりわけ慎重な確認が必要になる条項があります。特に以下の項目は将来の返済計画に直接影響するため、しっかりと確認しましょう。
- 借入総額:予定していた借入金額と合っているか
- 適用利率・返済方式:選択した金利タイプが正しく記載されているか
- 返済期限:借入期間やボーナス返済の内容に間違いがないか
専門用語が多用されている場合でも、理解できない点は遠慮なく担当者に質問し、完全に納得してから署名しましょう。
5. 金消契約の注意点

住宅購入時の金銭消費貸借契約は、多くの方にとって馴染みのない専門的な契約です。はじめての契約で困らないよう、契約書の重要な項目は時間をかけて確認し、印紙税のしくみについても把握しておきましょう。
書面契約の場合は印紙税が必要
金消契約を書面で行う場合は、対面・非対面に関わらず借入金額に応じた印紙税の支払いが義務付けられています。
印紙税とは契約書に収入印紙を貼って納める税金です。税額は借入金額により段階的に設定されており、借入金額が大きくなるほど印紙税も高額になります。なお、電子契約の場合は実印、印鑑証明書、印紙税が不要となるため、コスト面でのメリットがあります。
契約後の解約は原則として困難
金消契約の締結後、融資が実行される前であれば解約できる場合もありますが、基本的には、特別な理由がない限り契約後の解約は困難です。
解約時には手数料や調査費用、印紙代などの諸費用を負担する必要があります。さらに、金融機関の手続きが既に進んでいるため、解約手続きには時間と労力がかかってしまいます。
6. まとめ

金消契約の基本的なしくみから住宅ローン手続きの全体的な流れ、必要な書類の準備までを解説しました。物件取得後も返済期間中は金消契約に基づいて手続きが進むため、契約条項や注意すべきポイントを十分に把握し、必要書類を漏れなく用意して契約手続きに臨みましょう。
池田泉州銀行では、住宅ローンに関するご相談を窓口で承っております。住宅購入やリフォーム資金はもちろん、自動車購入資金、お子さまの教育資金、既存ローンのお借換えなど、幅広いローンのご相談が可能です。お気軽にご相談ください。
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