資産形成への関心が高まり、税制優遇が受けられるNISAの利用者が増加しています。NISAは一人一口座しか開設できず、複数の金融機関での口座開設はできません。そのため、どの金融機関でNISA口座を開設するか慎重に検討しなければなりません。
金融機関によって、取扱商品の種類や手数料、お住まいの近くに店舗があるか、相談のしやすさ等サービス内容が異なります。自分に合った金融機関を選ぶことが、長期的な資産形成への確かな第一歩となるでしょう。
本記事では、NISA口座開設において注意すべきポイントや、金融機関を変更する際の手順を解説します。

1. NISA口座は複数開設できない

NISAは、1人1口座しか開設できません。NISA口座を申込むと、金融機関を通じて税務署に申請手続きが行われ、NISA口座の重複がないか確認が行われます。一度NISA口座を開設すると、原則として1年間は金融機関を変更することができません。
そのため、NISA口座を開設する際には慎重な判断が必要です。各金融機関が提供する取扱商品、サービス内容、手数料等の比較検討が重要になります。将来の投資計画も考慮に入れながら、自身のニーズに適した金融機関を選択しましょう。
つみたて投資枠と成長投資枠は同一口座で運用
NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠という2つの投資枠を活用できます。しかし、これらの投資枠を複数の金融機関に分散して利用することは制度上認められていません。
2つの投資枠は、同一の金融機関で開設したNISA口座内で一括管理する必要があります。A銀行でつみたて投資枠を利用しながら、B銀行で成長投資枠を運用するといった投資枠の使い分けはできません。
金融機関の変更は年に1度のみ
NISA口座の金融機関変更は年1回に限られます。新たな金融機関へ変更した場合でも、変更前の金融機関のNISA口座で保有している投資信託等の金融商品の残高は、変更前の金融機関で管理され、非課税保有期間は無期限となります。
家族で複数NISA口座を開設できる
NISAは1人1口座という制限がありますが、家族全員がそれぞれ口座を開設することで、世帯として非課税投資の機会を広げられます。
例えば、夫婦2人での運用なら、年間投資枠は720万円(1人360万円×2人)まで拡大し、非課税保有限度額も3,600万円(1人1,800万円×2人)となります。また、家族で分散投資を行うことで、投資リスクの軽減や投資タイミングの分散といったメリットも得られます。
2. NISA口座を複数申込むとどうなる?

複数の金融機関でNISA口座の申込みをしてしまった場合、どのように対応すべきでしょうか。NISAでは「1人1口座」というルールが定められています。この規定を知らずに誤って複数の申込みをしてしまった場合の解決方法について、具体的に見ていきましょう。
複数の金融機関に申込んだ場合
複数の金融機関でNISA口座の申込みをした場合、税務署での審査が最初に完了した1つの金融機関の口座のみが正式なNISA口座として認められ、そのほかの申込みは無効となります。NISA口座として認められなかった場合、税務署から「非課税適用確認書の交付を行わない旨の通知書」が発行されます。
また無効となった口座で投資をしていた場合は、課税口座での取引とみなされ運用益に税金がかかってしまいます。
過去にNISA口座を開設していた場合
2023年までに旧NISA口座(一般NISA/つみたてNISA)を開設していた場合、2024年1月1日に同金融機関で自動的に新しいNISA口座が開設されています。そのため、過去の口座開設を忘れてほかの金融機関でNISA口座を開設した場合、税務署申請後に重複が判明するため新規口座開設は認められません。
旧NISA口座を開設した金融機関が不明な場合は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)でNISA口座の開設状況を確認できます。
3. NISA口座を別の金融機関に変更するには?

NISA口座を別の金融機関に変更する場合は、変更したい年の前年10月1日から当年9月末までに、現在NISA口座利用中の金融機関で非課税口座(または非課税勘定)廃止の申込みを行い、「非課税口座廃止通知書」または「勘定廃止通知書」を変更を希望する金融機関に提出し、手続きを完了する必要があります。(NISA口座自体を廃止するのか、翌年の勘定(投資枠)だけを変更するのか、NISAの利用状況によって手続きが異なります)
10月から12月の金融機関変更は翌年分のNISA枠の金融機関の変更手続きとなり、当年分の変更は制度上できません。また、変更を希望する年の1月1日以降に一度でもNISA口座での買付をすると、その年分の金融機関変更ができないという点にも注意が必要です。
なお、具体的な変更手続き方法は金融機関によって異なるため、事前に各金融機関への確認をおすすめします。
4. NISA口座を開設する金融機関の選び方

NISA口座を開設する金融機関を選ぶにあたって、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
取扱商品の種類
NISA対象の投資信託は、金融庁による認定商品の中から、各金融機関が独自の基準で選定しています。そのため、取扱銘柄は金融機関ごとに異なります。また、成長投資枠で個別株式への投資を希望する場合は、証券会社でNISA口座を開設する必要があります。自分が投資したい商品を扱っている金融機関はどこか、口座開設前に十分確認しましょう。
運用状況の確認のしやすさ
日常的な運用管理のしやすさは、長期の資産形成において重要です。各金融機関は、NISA口座の運用状況をWebサイトやスマートフォンアプリで確認できるサービスを提供しています。
インターネットバンキングに対応している金融機関では、保有口数、評価金額、分配金履歴等のファンドの保有状況や、過去の取引履歴を簡単に確認できます。口座開設前に、取引手順のわかりやすさ、運用実績の確認方法、スマートフォンでの操作性等の観点から調べてみましょう。
窓口相談等のサービスの充実度
投資を始めたばかりだと、口座開設の手続きや投資信託の選び方等、わからないことが数多く出てくるものです。「投資信託のしくみがよく理解できない」「市場の変動にどう対応すべきか」等、投資を始めてからも様々な疑問が生じることがあります。また、NISAは制度拡充により、2つの枠の活用、ライフステージに応じた見直し等、使い方の選択肢が大きく広がりました。
各金融機関では、このような不安や疑問に対応するため、店頭窓口での対面相談や電話によるサポート等、気軽に相談できる体制を整えています。充実したサポート体制があることで、長期の資産形成をより安心して進められます。
5. まとめ

NISAでは1人1口座のみの開設が認められており、複数の金融機関での口座開設はできません。取扱商品、手数料、窓口相談等のサポートを比較検討し、自分のニーズに合った金融機関を慎重に選択することが重要です。
池田泉州銀行では、対面での丁寧な相談サービスを提供するとともに、専用アプリ「池田泉州銀行 口座開設+[プラス]」による非対面での口座開設にも対応しています。またアプリで口座開設後は、インターネットバンキングやアプリで投資信託の取引が可能です。
また、池田泉州銀行では、NISAでの資産形成だけでなく、長い人生の中で起こるライフイベント(住居費や教育費の準備、退職金の運用、相続等)に係る様々なご相談への総合サポートを行っております。大切なお金のことだからこそ、迷ったときや困ったときは、お気軽に担当者へご相談ください。
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