マイホーム購入では、「頭金はいくら用意すればよいのか」「貯蓄のうちどこまで頭金に充ててよいのか」と悩む方が多いのではないでしょうか。頭金なしで住宅ローンを組めるのか、気になっている方もいるでしょう。
本記事では、頭金を考える際に参考となる自己資金比率や頭金の目安、頭金を入れるメリット・デメリットを解説します。あわせて、諸費用や生活費とのバランスを踏まえた頭金の決め方を、3つのステップで紹介します。

1. 住宅ローンの頭金とは

そもそも頭金とはどのようなお金で、必ず用意しなければ住宅ローンを組めないのでしょうか。まずは、頭金の基本から見ていきましょう。
頭金とは物件価格のうち自己資金で支払うお金
頭金とは、物件価格のうち、住宅ローンを借りずに預貯金などから用意する自己資金です。たとえば、4,000万円の物件の購入で頭金を800万円用意した場合、残りの3,200万円が住宅ローンの借入額です。頭金を多く入れるほど借入額が減り、毎月の返済額や利息の負担を軽くできます。一方で、頭金に充てた分だけ手元に残る資金は減ります。頭金をいくら用意するかによって、購入後の家計は大きく変わってきます。
なお、住宅の購入には、登記費用やローンの手数料等の諸費用も必要です。諸費用は頭金とは別に必要である点に注意しましょう。
諸費用についてくわしく知りたい方は、「住宅購入の諸費用について」をご覧ください。
頭金なしでも住宅ローンは組める
頭金なしでも、住宅ローンを組むことは可能です。金融機関によっては、物件価格の全額を借入れできる住宅ローンを取扱っています。まとまった資金を準備するまで待たずに購入を検討できる点は魅力です。
一方、借入額が増える分、利息負担や毎月の返済額は大きくなりやすいため、返済計画はより慎重に立てる必要があります。
2. 住宅ローンの頭金の目安はどれくらい?

国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査(48ページ図表/一次取得者の購入資金)」によると、はじめて住宅を購入した世帯の購入資金の平均と自己資金比率は、住宅の種類別に以下のとおりです。
| 住宅の種類 | 購入資金の平均 | 自己資金比率 (頭金の平均金額) |
|---|---|---|
| 注文住宅 (土地代を含む) |
5,876万円 | 23.0%(1,354万円) |
| 分譲戸建住宅 | 4,310万円 | 22.0%(948万円) |
| 分譲マンション | 4,366万円 | 32.7%(1,427万円) |
| 中古戸建住宅 | 2,869万円 | 30.7%(882万円) |
| 中古マンション | 2,857万円 | 34.6%(990万円) |
- 注文住宅は全国、その他の住宅は三大都市圏の調査結果です。
- 本調査の「自己資金」には、預貯金や不動産売却による資金、贈与、遺産相続等が含まれます。
頭金の目安は物件価格の2〜3割前後
表のとおり、はじめて住宅を購入した世帯の自己資金比率は、おおむね2〜3割です。頭金の金額を考える際は、この水準を一つの参考にできます。
また、住宅の購入には、物件価格の5〜10%が目安とされる諸費用も必要です。家計の状況やライフプランは世帯によって異なるため、自己資金比率だけで頭金の金額を決めるのではなく、諸費用や手元に残す資金も考慮して、無理のない範囲で調整することが大切です。
3. 住宅ローンで頭金を入れるメリット

頭金を入れると、住宅ローンの返済負担を軽くできます。ここでは、そのほかの効果も含めて、主なメリットを3つ紹介します。
毎月の返済額と利息負担を抑えられる
頭金を入れると、その分だけ住宅ローンの借入額が減ります。借入額が減ると、毎月の返済額と、返済期間全体で支払う利息の総額を抑えられます。
以下は、物件価格3,500万円の住宅を、金利年1.5%・返済期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なしで購入する場合の試算です。
| 頭金 | 借入額 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の総額 |
|---|---|---|---|---|
| 0円 | 3,500万円 | 107,164円 | 約4,501万円 | 約1,001万円 |
| 350万円 | 3,150万円 | 96,448円 | 約4,051万円 | 約901万円 |
| 700万円 | 2,800万円 | 85,731円 | 約3,601万円 | 約801万円 |
- 金利が全期間変わらないものとして試算しています。
- 試算結果は参考値です。実際に適用される金利は借入時点の金利です。
頭金を700万円入れた場合、頭金なしと比べて毎月の返済額は約2万円、利息の総額は約200万円少なくなります。
審査にとおりやすくなる可能性がある
住宅ローンの審査では、年収に占める年間返済額の割合である返済比率が重視されます。頭金を入れて借入額を抑えると返済比率が下がるため、審査で有利にはたらく可能性があります。
審査で見られるポイントについてくわしく知りたい方は「住宅ローンの審査は何を見る?審査基準や通らない典型的な理由」をご覧ください。
売却時にローンが残りにくくなる
住宅の資産価値は、年数の経過とともに下がる傾向があります。頭金なしで購入し、売却時に住宅ローンの残高が売却価格を上回った場合は、差額を自己資金で補う必要が生じることがあります。
頭金を入れると、その分だけローン残高を低く抑えられます。頭金なしの場合と比べて残高が売却価格を上回りにくいため、住み替えや売却の判断がしやすくなります。
4. 住宅ローンで頭金を入れるデメリット

頭金の金額は、メリットだけでなくデメリットも踏まえて決めることが大切です。
手元資金が減り、急な出費や将来の支出に備えにくくなる
頭金を多く入れるほど、手元に残る資金は減ります。住宅の購入後も、家具・家電の購入費や引越し費用、固定資産税等、まとまった出費は続きます。教育費や車の買い替え等、ライフイベントへの備えも必要です。手元資金に余裕がないと、不測の事態に対応しにくくなります。
頭金を少なめにして手元に資金を残し、余裕ができた時点で繰上返済する方法も選択肢の一つです。繰上返済のくわしい内容は「住宅ローンの繰上返済のメリット・デメリット!他の返済方法とどちらがお得?」をご覧ください。
住宅ローン控除の控除額が小さくなる場合がある
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して新築住宅や中古住宅を購入またはリフォームした場合に、一定の条件を満たしていれば、年末時点の住宅ローン残高の0.7%を、最長13年間にわたって所得税から控除できる制度です。所得税だけで控除できなかった場合は、翌年の住民税から控除されます。控除額はローン残高に応じて決まるため、頭金を入れて借入額を減らすと、控除額が小さくなる場合があります。
ただし、控除で軽減される税額より、借入額の増加で支払う利息のほうが大きくなるケースもあります。どちらが有利かは、金利や借入額、所得額によって変わります。控除で軽減される税額と利息負担を比べたうえで、頭金の金額を検討しましょう。
- 今後の税制や法令の改正等により、現在とは異なる課税関係が生じる場合があります。
5. 住宅ローンの頭金を決めるときのポイント

頭金の金額は、順を追って考えると決めやすくなります。ここでは、決め方を3つのステップで紹介します。
ステップ1:諸費用と生活予備費を確保する
まず、貯蓄の中から諸費用と生活予備費を確保しましょう。諸費用は契約や引渡しの際に支払うものが多く、頭金より先に確保しておきたい資金です。
また、病気や失業等、不測の事態に備え、生活費の6ヵ月〜1年分程度は生活予備費として手元に残すと安心です。貯蓄から諸費用と生活予備費を差引き、まずは頭金に充てられる金額の目安を把握します。
ステップ2:将来のライフイベントに必要なお金を整理する
次に、結婚・出産・教育・老後資金等、今後のライフイベントにかかるお金を洗い出し、いつごろ、どのくらい必要になるかを整理します。
そのうえで、数年以内に使う予定のあるお金は頭金に回さず、手元に残しましょう。また、将来も無理なく返済を続けられる借入額から逆算して、頭金の金額を検討することも大切です。将来の支出を先に見通しておくと、無理のない範囲で頭金の金額を検討できます。
ステップ3:借入額と毎月の返済額をシミュレーションする
最後に、ステップ1・2で残すお金を除いた貯蓄の範囲で頭金の候補額をいくつか設定し、借入額と毎月の返済額、総返済額をシミュレーションします。毎月の返済額と手元に残るお金のバランスを見ながら、自分の家計に合った頭金の金額を決めましょう。
借入額の目安については、「住宅ローンはいくらまで借りられる?年収別シミュレーションや注意点を解説」をご覧ください。
6. 住宅ローンの頭金に関するよくある質問

住宅ローンの頭金に関する、よくある質問と回答をまとめました。
頭金はいつ支払いますか?
頭金は、売買契約から物件の引渡しまでの間に支払うのが一般的です。多くの場合、契約時に手付金を支払い、残りは物件の引渡し時に支払います。支払いの時期や回数は契約内容によって異なるため、事前に不動産会社へ確認しておくと安心です。
頭金と手付金は何が違いますか?
頭金と手付金は、支払う時期と意味が異なります。手付金は、売買契約を結ぶ際に、買主から売主へ支払うお金です。頭金は、購入価格のうち自己資金でまかなうお金の全体を指します。手付金は通常、最終的に購入代金の一部に充当されるため、結果として頭金の一部になります。
頭金は多ければ多いほどよいですか?
多ければよいとは限りません。頭金を増やすほど利息負担や毎月の返済額は抑えられる一方、手元資金が減り、急な出費や将来の支出に対応しにくくなります。諸費用や生活予備費、数年以内に使う予定のお金を確保したうえで、無理のない範囲で金額を決めることが大切です。
7. まとめ

本記事では、住宅ローンの頭金の目安や決め方を解説しました。頭金なしでも住宅ローンを組めるケースがあります。頭金の金額を考える際は、はじめて住宅を購入した世帯の自己資金比率がおおむね2〜3割台であることも一つの参考にできます。頭金の金額は家計の状況やライフプランによって異なるため、諸費用や生活予備費、数年以内に使う予定のお金を確保したうえで、無理のない金額を決めましょう。
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