住宅の購入を検討する中で、夫婦それぞれが住宅ローンを借りるペアローンを検討されている方もいるのではないでしょうか。住宅金融支援機構の調査(住宅ローン利用者の実態調査[住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)])によると、2025年4月から9月に住宅ローンを借入れした人のうち、ペアローンの利用割合は20代で35.3%、30代で30.9%でした。共働き世帯の増加を背景に、若い世代の3割前後が利用しています。
一方で、ペアローンにはお借入れの前に確認しておきたい点もあります。返済は長期にわたるため、その間に収入や家族の状況が変わる可能性も踏まえて判断することが大切です。本記事では、ペアローンのメリットと5つのデメリットを整理したうえで、リスクを抑える対策まで解説します。

1. ペアローンとは?夫婦がそれぞれ住宅ローンを借りるしくみ

ペアローンとは、1つの住宅に対して夫婦がそれぞれ債務者となり、それぞれの名義で住宅ローンを借りる方法です。審査も別々に行われるため、双方が通過して初めて利用できます。なお金融機関によっては、親子で利用することもできます。
夫婦がそれぞれ借りるため、住宅ローンの契約は2本です。一方で、購入する住宅は1つです。そのため住宅は通常、夫婦の共有名義とし、それぞれの負担額に応じた割合で登記します。この割合を持分といいます。また金融機関によって、夫の契約では妻が、妻の契約では夫が連帯保証人となります。
夫婦の収入をもとに借りる方法には、ほかに連帯債務と連帯保証(所得合算)があります。それぞれの違いについてくわしく知りたい方は、「連帯債務・ペアローン・連帯保証(所得合算)の違いについて」も参照ください。
2. ペアローンのメリット

ペアローンには、夫婦それぞれが債務者となることで得られる利点があります。ここでは、借入額や税制、保障の面から主なメリットを解説します。
単独より借入額を増やしやすい
夫婦それぞれの収入をもとに審査されるため、単独で借りるよりも大きな金額を借りやすくなります。単独ローンでは予算オーバーになってしまう住宅も、ペアローンを活用することで購入を検討できるようになります。
また借入額や返済期間、金利タイプを、夫婦それぞれで設定できる場合もあります。取扱いは金融機関ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
借りられる金額の目安についてくわしく知りたい方は、「住宅ローンはいくらまで借りられる?年収別シミュレーションや注意点」も参照ください。
夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
夫婦それぞれが債務者となるため、要件を満たせば2人とも住宅ローン控除を受けられます。1人だけが債務者となる借り方に比べて、世帯全体で軽減できる税額が大きくなります。
ただし住宅ローン控除を受けるには、それぞれが合計所得金額2,000万円以下であることや、返済期間が10年以上あること、その他住宅の種類、性能に関すること等、一定の要件を満たす必要があります。
夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入できる
ペアローンでは、夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入できます。団体信用生命保険は「団信」とも呼ばれ、契約者が死亡または所定の高度障害状態になったときに、ローン残高相当の保険金が支払われ、ローンの返済に充当される保険です。夫婦のいずれかに万が一のことがあっても、その人が契約する住宅ローンによっては保険金によって残高が完済され、以降の返済は不要となります。
一方、連帯保証(所得合算)と連帯債務では、団体信用生命保険の被保険者となるのは主たる債務者のみです。ただし連帯債務の場合は、金融機関によっては、夫婦2人とも保障対象となる夫婦連生団信を利用できる場合もあります。
3. ペアローンのデメリット・注意点

ペアローンには契約の前に確認しておきたい点もあります。ここでは、主なデメリットを5つ解説します。
諸費用がローン2本分かかる
ペアローンは契約が2本になるため、契約に関する諸費用も2本分かかります。契約ごとに発生する主な費用は次のとおりです。
- 印紙税
- 登記費用
- 融資手数料/保証料
- 事務取扱手数料
金額や名称は金融機関ごとに異なるため、お申込みの前に確認しておきましょう。なお、一般的に、融資手数料や保証料は借入額に応じて計算されるため、総額が大きく変わらないケースもあります。
毎月の負担額だけでなく、諸費用を含めた総額で比較しましょう。住宅ローンにかかる費用についてくわしく知りたい方は、「住宅購入の諸費用について」も参照ください。
一方の収入が減ると返済を続けにくくなる
ペアローンは、夫婦2人の収入をもとに2本のローンを返済する借り方です。
返済期間中には、産休や育休、転職、病気やケガによる休職など、働き方が変わる場面もあります。またペアローンでは多くの場合、夫婦がお互いの契約の連帯保証人となります。そのため、一方の収入が減った場合でも家計全体で2本分の返済を続けなければならず、もう一方の負担が大きくなる点に注意が必要です。
産休や育休のように、収入が減る時期と期間の見通しが立つライフイベントもあります。収入が減る時期をあらかじめ想定して借入額を無理のない範囲に設定しておけば、余裕をもって返済を続けられます。
一般的な団信では完済されるのは一方のローンのみ
ペアローンでは、夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入します。夫のローンは夫の保険で、妻のローンは妻の保険で返済に充当されるしくみです。そのため、夫婦のどちらかに万が一のことがあった場合でも、全額返済されるのは2本のうち1本のみで、もう1本のローンは返済が続きます。
万が一の場合を想定し、残った1本のローンを返済していけるかを考えておくことが大切です。借入額の配分は、契約の前に夫婦で話し合って決めておきましょう。
ただし、夫婦連生団信など、夫婦のどちらかに万が一のことがあった場合に2人分のローンが保障される商品もあります。
離婚してもローンの返済義務は残る
将来、離婚することになった場合でも、住宅ローンの契約はそのまま続きます。また購入した住宅は夫婦の共有名義であるため、売却や持分の変更には夫婦間の合意に加えて、金融機関の承諾や契約変更の手続きが必要になる場合があります。
離婚の際にペアローンを整理する方法は、主に2つあります。1つは住宅を売却して代金をローンの返済に充てる方法で、売却代金がローン残高に満たない場合は、不足分を預貯金等で補うことになります。もう1つは、住み続ける側が単独で借入れを行い、その借入金で2本のローンを1本にまとめる方法で、単独の収入で改めて審査を受けることになります。
契約の時点で、将来の状況が変わっても返済を続けられる借入額に設定しておきましょう。
持分割合によっては贈与税がかかる
住宅の持分は、夫婦それぞれが購入資金をいくら負担したかに応じて決めるのが原則です。負担した割合と登記する持分の割合が異なると、その差額が贈与とみなされる場合があります。
たとえば夫が2,400万円、妻が1,200万円を借りて住宅を購入した場合、資金を負担した割合は2対1です。ここで持分を1対1として登記すると、夫が出した資金の一部を妻が受取ったとみなされ、贈与税の課税対象と判断されることがあります。一方の返済を肩代わりしたときや、単独名義に借換えを行ったときも同様です。
なお、暦年課税の場合、他の贈与と合算した1年間の贈与額が基礎控除額(110万円)以下であれば、原則として贈与税はかかりません。持分は住宅の引渡しの際に登記するため、借入額の配分と持分の割合は、契約の前にあわせて決めておきましょう。
贈与税の税務上の取扱い等については、最寄りの税務署や税理士等専門家にご相談ください。
4. ペアローンのリスクへの対応策

ペアローンのリスクには、契約の内容や借り方を工夫することで備えられます。ここでは、借入額と保障の観点から対策を解説します。
収入が減っても返済できる金額にとどめる
借入額は、夫婦のどちらかの収入が減っても返済を続けられる範囲に設定するのが基本です。産休や育休、休職等で収入が一時的に減る期間を想定し、契約の前に毎月の返済額を試算しておくことが大切です。試算した返済額が負担になる場合は、借入額を抑えるか、収入が減る期間の返済に充てられる貯蓄を用意しておきましょう。
家計上無理のない返済負担率は一般的に年収の20〜25%程度が目安とされています。ただし、金融機関の審査基準や家計の状況によって異なります。無理のない借入額の決め方は、「住宅ローンはいくらまで借りられる?年収別シミュレーションや注意点」も参照ください。
生命保険で万が一にそなえる
ペアローンでは、夫婦がそれぞれ自分の契約分の団体信用生命保険に加入します。一方に万が一のことがあったときに残る1本にそなえるには、もう一方のローン残高に相当する死亡保障の生命保険で補う方法があります。すでに生命保険に加入している場合は、保障の金額を見直すことでも備えられます。
なお、夫婦のどちらかに万が一のことがあった場合に2人分の残高がまとめて弁済される夫婦連生団信もあります。利用できるかどうかは、住宅ローンの借り方や金融機関によって異なります。
団体信用生命保険についてくわしく知りたい方は、「住宅ローンの団体信用生命保険は何を選べばよい?保険種類別のメリット・デメリットを紹介」も参照ください。
5. ペアローンが向いている夫婦・向いていない夫婦
ここまで見てきたメリットとデメリットを踏まえると、ペアローンが向いているかどうかは夫婦の状況によって変わります。
| ペアローンが向いている夫婦 | ペアローンが向いていない夫婦 |
|---|---|
| 夫婦それぞれに安定した収入がある | どちらか一方の収入で家計を支えている |
| 今後の働き方やライフプランの見通しが立っている | 数年以内に働き方が変わる可能性がある |
| 収入が減った期間の返済に充てられる貯蓄がある | 諸費用をできるだけ抑えたい |
ペアローンは、夫婦2人が長く働き続ける見通しが立つ場合に選びやすい借り方です。
夫婦で利用できる住宅ローンには、ペアローンのほかに連帯債務と連帯保証(所得合算)があります。どちらも契約が1本のため、お借入れにかかる諸費用を抑えられます。また連帯債務では、一定の要件を満たせば、夫婦2人とも住宅ローン控除を受けられます。
6. ペアローンに関するよくある質問

ペアローンに関する、よくある質問と回答をまとめました。
夫婦のどちらか一方のみ審査に通らなかった場合はどうなりますか?
ペアローンは、夫婦それぞれが審査を受け、双方が通過して初めて利用できます。一方が通らなかった場合、ペアローンは利用できません。その場合は、借入額を見直して1人で借りる方法や、連帯債務、連帯保証(所得合算)といった別の借り方を検討できます。
夫婦の借入額は同額にする必要がありますか?
同額にする必要はありません。夫婦それぞれの収入や今後の働き方に応じて配分できます。ただし借入額の割合は、万が一のときに完済されずに残るローンの金額や、登記する持分の割合に影響します。契約の前に、収入や持分とあわせて検討しましょう。
育休中に収入が減ると住宅ローン控除はどうなりますか?
育休中は、控除額が減ったり、控除を受けられなかったりする場合があります。住宅ローン控除は、その年に納める所得税等から差引く制度のためです。復職して所得税が発生した年からは、要件を満たせば控除期間内で住宅ローン控除を受けられます。
- 今後の税制や法令の改正等により、現在と異なる課税関係が生じる場合があります。
7. まとめ

ペアローンは、夫婦それぞれの収入をもとに借入額を増やしやすく、住宅ローン控除や団体信用生命保険を2人分利用できる借り方です。一方で、契約に関する諸費用が2本分かかることや、収入の変化、団信で弁済されるのは1本のみである点、離婚時の整理、持分と贈与税等、契約の前に確認しておきたい注意点もあります。
借入額を無理のない範囲に設定し、生命保険で万が一に備えておけば、安心して利用できます。夫婦で今後の働き方を話し合い、2人に合った借り方を選びましょう。
池田泉州銀行の住宅ローンは、ペアローン、連帯債務、連帯保証(所得合算)の3つの借り方からお選びいただけます。夫婦の状況にあわせて借り方を選べるほか、最長50年の返済期間で月々の負担を抑えた計画も立てられます。住宅ローンにくわしい専門スタッフが窓口でご相談を承ります。ぜひ、お気軽にご相談ください。
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